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雪と氷とお花とボクと |
作 綾守 永さん |
きしきしとなる氷をふみつけて、ボクは雪と氷のまじった道路をはしるんだ。
氷をみつけたら、ぴょん。もいちどみつけて、ぴょん。カエルみたいにぴょんこぴょんこジャンプして、はしって、またジャンプするんだ。病院にくるときには、いつもそうしてるんだよ。
あぶなくないよ、だいじょーぶ。もっともっとさむい雪の日の方があぶないよ。ボクの足がずぼずぼ埋まって、長靴がくわれちゃうんだもん。
それに園長先生は「走る子は元気な子」だって、いつもボクをほめてくれるんだ。ろーかを走ると、ちょこっと怒られちゃうけどね。だからボク、ゆきどけの氷をふんづけて走ってくるんだ。ぴょいってすべると、テレビでやってるスケートみたいに上手くすべれるんだよ。
雪がとけてきたのは、あったかくなってきたからなんだってパパが言ってた。春が近いんだなって。氷をふんづけてとかしちゃえば、冬はさっさと帰っちゃうのかなあ。ボク、その方がいいな。そしたらおつかいもいっしょけんめ行くよ。氷と雪をとかしながらがんばっちゃうんだけどなあ。
あと少しすると、ボクもみんなと一緒に小学校のおにいちゃんになるんだよ。すごいでしょ。あんなおっきなランドセルしょって、小学校におべんきょーしにいくんだ。春ってすごいよね。楽しいこといっぱいだね。雪がとけて、お花がさいたらボクはおにいちゃんになるんだもんね。
ねえママ、早く春になるといいね。パパと、ママと、おにいちゃんのボクと、赤ちゃんで入学式のしゃしんとる約束したもんね。
ボク、春になるまでまいにち病院にくるよ。雪と氷がとけてお花が咲いたら、一緒に帰ろうね。
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